ゴミ屋敷の対策・パターン別4選!行政の条例やマンション・実家での予防策も解説!

親の実家でも近隣の民家でも、自分と関わりのある人の家がゴミ屋敷になってしまうと大きな問題があります。親の実家なら処分費用を代わりに出すことになる、近隣の民家なら悪臭や害虫の発生に悩まされる、などの問題が起こるのです。

このため、ゴミ屋敷が自分の身近なところで発生しないよう、日頃から対策を立てて実行する必要があります。このことは理解していても、以下のような点を疑問に思っている方は多いでしょう。

  • 具体的にどんな対策を立てればいいのか
  • 近所のゴミ屋敷の場合、行政が対応してくれるのか
  • マンションならどうすればいいのか

この記事ではこれらの疑問への答えも含め、ゴミ屋敷の対策を説明していきます。ゴミ屋敷の問題を未然に防ぎたいと考えている方には、特に参考にしていただけるでしょう。

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ゴミ屋敷の対策・パターン別

ゴミ屋敷の対策を立てるといっても「どんなゴミ屋敷なのか」というパターンによって、内容が異なります。ここではゴミ屋敷のパターン別に、対策を解説していきます。

実家(親の家)

実家

ごみ屋敷への対策を考えるケースで、特に多いのは「親の住んでいる実家」でしょう。親が高齢になって片付けをできなくなり、ゴミ屋敷化が進むという事例は多くの家庭で見られます。

実家を片付けるコツ

このようなゴミ屋敷かした実家を片付けたい場合、下のような方法が有効といえます。

  • まず「自分の部屋だけ」片付ける
  • お風呂場・洗面所などから片付ける
  • 何も捨てずに、すべて「一時保管のスペース」に移す

自分の部屋については「そこだけは自分が片付ける権利がある」ということで、手を付けやすいものです。あなたの部屋がきれいになったら、親御さんも片付けのモチベーションが上がる可能性があるでしょう。

お風呂場・洗面所は「必要なものが少ない」ため、片付けやすいのが理由です。3つ目の「一時保管」は、「捨てると怒る親でも説得しやすく」なります。

このように、実家のごみ屋敷対策は具体的なコツが多くあります。より詳しい内容は下の記事を参考にしていただけたらと思います。

ご近所・隣家

ゴミ屋敷

実家の次にごみ屋敷対策が必要になるのは、ご近所や隣家の方などでしょう。この場合は、下のような対策が有効です。

  • 感情を害さないように、迷惑していることを伝える
  • 近所の他の方に相談する
  • 自治体・警察・消防署などに相談する

まず、一番重要なのは1つ目です。場合によっては「ご本人が問題だと気づいていない」という可能性もあります。その場合は伝えたら改善してくれる可能性もあるでしょう。

2つ目の近所の方への相談ですが、これはごみ屋敷の所有者が「聞く耳を持たない」ときです。近所にゴミ屋敷があれば、誰でも迷惑するもの。そのため、他の近所の方と協力して、ごみ屋敷の所有者に自身の問題点に気づいてもらう必要があります。

3つ目は「近所の全員で苦情をいっても聞かない」という場合です。この場合は自治体に相談します。

特に火事の心配があるなら消防署、所有者の振る舞いに危険を感じることがあれば、警察などにも相談するべきです。実際、ごみ屋敷の中にはごく稀に「中で長期間に渡り犯罪行為が行われている」というケースもあります。たとえば動物の虐待などです。

そうした事件性を感じる物件については、警察にも通報しましょう。基本的には市区町村などの自治体のみの管轄なので、自治体に通報します。

マンション・アパートの他の入居者

これも「隣家」の一部ですが、マンションやアパートの他の入居者が部屋をごみ屋敷にしてしまうと、当然困るものです。悪臭や害虫などの被害が、あなたの部屋に及ぶこともあるでしょう。

こうした賃貸住宅でのごみ屋敷対策については、マンションを中心に下の段落で詳しく解説しています。興味がある方は、こちらをご覧ください。

マンションのゴミ屋敷対策

自分の家・部屋

掃除をサボる女性

「自分の家・部屋をごみ屋敷にしない」という注意も必要です。これは多くの人が「自分は大丈夫」と思うでしょうが、意外と「何かのきっかけでなってしまう」ものです。

  • 仕事で行き詰まった
  • 個人的な人間関係で行き詰まった
  • 単純に健康を害した

基本的には心身のつまずきですが、このようなことは誰にでもあるもの。そして「なるはずがない」と思っていたごみ屋敷になってしまうことも、しばしばあるのです。

(これは「マンションのゴミ屋敷対策」でも解説しています。外ではまったく普通に働いている現役世代の方の間で、ごみ屋敷が増えているのです)

「簡単なものからとにかく捨てる」ことが重要

こうした「現役世代のごみ屋敷」の始まりとして、多いパターンは「ごく普通のごみが溜まり始めた」ことです。具体的には下のような物が当てはまります。

  • 通販のダンボール
  • コンビニ弁当の空き箱
  • 仕事の書類(もう不要なもの)

どれも、捨てようと思えば簡単に捨てられるものです。だから「いつでもできる」と思っているうちに「いつの間にか溜まってしまう」のです。

ゴミ自体の処理が大変なのではなく、精神が病んでしまう

上の説明を読んで「仮に溜まっても、こんなのはすぐに片付くのでは?」と思うでしょう。実際にその通りで、業者が清掃すれば2時間程度で片付くことがほとんどです。

素人の方でも、丸一日か2日あれば十分に片付くのですね。それがなぜできないかというと「精神が病んでしまう」ためです。

ゴミが増えれば増えるほど冷静な思考ができなくなり「思考停止状態」になってしまうのです。毎日働いて最低限の食事をとるだけで精一杯になり、まるでロボットのようになってしまうわけですね。

このように「ごく普通の人がごみ屋敷の住人になってしまう」原因を知ることが、何よりの対策といえます。繰り返しますが、ゴミ自体の量はそれほどの問題ではないのです。「本人が思考停止してしまうこと」が、ごみ屋敷の最大の原因だと理解しておきましょう。

(なお、自分の汚部屋を片付けたいという場合は、下の記事を参考にしていただけたらと思います)

行政によるゴミ屋敷対策(1都3県の事例)

市役所

ごみ屋敷の問題は高齢化とともに年々深刻になっています。そのため、どの都道府県でも行政機関が対策に乗り出しているものです。

ここでは、関東エリアの1都3県の自治体を例に、行政の取り組みを見ていきましょう。

東京都・中野区

ゴミ屋敷

東京都の中野区では、平成29年6月21日に「中野区物品の蓄積等による不良な生活環境の解消に関する条例」という条例を制定しました。一言でいうと「ゴミ屋敷対策条例」というべきものです。

※参考…「ごみ屋敷」等の対策のための条例について

何を制定したのか?

これは「私有地でも規制できる」ということ。これまで行政がゴミ屋敷問題を解決できなかったのは、ゴミ屋敷が私有地だから、という理由でした。

街の景観を害していて、台風などで周辺に被害を及ぼすリスクがあっても、私有地だからという理由で規制をできなかったわけですね。しかし、この条例によって規制ができるようになるということです。

条例の主な内容

この中野区のゴミ屋敷対策条例では、主に下のようなことが決められています。

指導・命令・勧告 ゴミ屋敷の所有者に対して、指導や勧告、命令をできる
代執行 所有者がゴミ屋敷を片付けない場合、区が代わりに実行できる。費用は所有者に請求できる
公表 所有者が立ち入り調査を拒否するなどした場合、区はその氏名を公表できる
過料 所有者に対して罰金を科すことができる

もっとわかりやすく、単純化して書くと「区が下のようなことをできる」ということです。

  • 指導・命令
  • 強制的な片付け
  • 費用の請求
  • 氏名の公表
  • 罰金

最後の罰金は、片付けにかかった費用とは別物です。もし区が強制執行まですることになった場合、ダブルで支払い義務が生じることがほとんどでしょう。

神奈川県・横須賀市

ゴミ屋敷

神奈川県の横須賀市では、「横須賀市不良な生活環境の解消及び発生の防止を図るための条例」という条例を制定しています。簡単にいうと「ゴミ屋敷の解決・予防の条例」です。

どのような条例か

特徴的な部分としては、下の4項目についてのルールが決められています。

  • 調査
  • 福祉的支援
  • ごみ排出支援
  • 措置

それぞれ具体的に何が決められているのかを書くと、下記の通りです。

調査 その家・持ち主の状況を詳しく調べる
福祉的支援 ケースワーカー・保健師などが訪問して支援する
ごみ排出支援 持ち主が片付けに同意した場合、自力での処分が難しいようであれば、それを横須賀市が支援する
措置 これらの支援に応じない場合、指導や警告をした上で、強制的に片付けをする

一言でいうと「他の自治体に比べて支援に重きが置かれている」という印象です。

持ち主を「まず支援する」という姿勢

横須賀市は、下のような点で「まず支援する」ということを重視しているという印象を受けます。

  • ケースワーカーなどの専門家が先に訪問する
  • 市が片付けを手伝う

つまり、いきなり「ゴミ屋敷の所有者=悪人」と決めつけるのではなく、最大限に支援をした上で、それでも片付けに応じないなら強制執行するという流れです。

他の自治体でもそのように「まず支援」をするでしょうが、横須賀市のルールは特に支援が重視されていると感じます。

※参考…いわゆる「ごみ屋敷」の解消と発生(再発)防止について

埼玉県・八潮市

ゴミ屋敷

埼玉県の八潮市では、「八潮市まちの景観と空家等の対策の推進に関する条例」を制定しています。この特徴は、ゴミ屋敷だけでなく空き家の対策も一緒にしているということです。

条例で決めている内容

八潮市は、下の3点を条例の特徴にあげています。

  • 特定居住物件等の対策に関する事項
  • 緊急安全措置等
  • 審議会の設置

それぞれの意味を説明していきます。

特定居住物件等の対策に関する事項

これは「ゴミ屋敷・古家」です。これまでは空き家が条例の規制対象でした。しかし、空き家は「非居住物件」です。

非居住物件の空き家は規制できるものの、人が住んでいるゴミ屋敷や老朽化した建物は規制できなかった、ということですね。このような「人が住んでいるけど問題のある建物」を規制できるようにしたのが特徴です。

緊急安全措置等

これは他の自治体と同じで「ごみ屋敷を強制的に片付けるなどできる」ということ。表現が「安全措置」となっているのみで、意味は同じです。

審議会の設置

当然ながら「ゴミ屋敷」という基準は明確に決まっていません。将来的には決まるかもしれませんが、現時点では存在しないものです。

そのため、規制しようとする建築物がゴミ屋敷(特定居住物件)に該当するかどうかを、審議会で慎重に話し合うという内容です。もっとも、これは現代の日本人にとっては「ごく普通」のことなので、特に珍しいルールということはないでしょう。

このような3つの特徴のある条例を制定し、八潮市はゴミ屋敷対策を推進しています。

※参考…「八潮市まちの景観と空家等の対策の推進に関する条例」等を制定しました(八潮市)

千葉県・千葉市

ごみ屋敷

実は、千葉県にはゴミ屋敷対策の条例がほとんどありません。「千葉県 ゴミ屋敷 対策 条例」などと、あらゆるキーワードで検索しても出てこないのです。出てくるのは、下のような内容のみです。

  • 千葉市の議員さんが京都市の対策を視察に行った
  • 市川市の市議会で、ゴミ屋敷についての質問が出た
  • 佐倉市の行政評議会で議題に登った

少々驚くかもしれませんが、1都3県の中で、千葉県だけがゴミ屋敷対策の進んでいない状態なのです。裏を返せばそれだけゴミ屋敷の問題が他県より少ないという可能性もあります。件数が多いのであれば、迅速に対応せざるを得ないためです。

(この点、東京都は条例の制定について「待ったなし」の状態だったでしょう。確実に日本で一番ゴミ屋敷が多いためです)

唯一、近い条例がヒットするのが千葉市

千葉県の市区町村の中で、唯一「ゴミ屋敷条例」に近いものがヒットしたのは、千葉市でした。「千葉市廃棄物の適正処理及び再利用等に関する条例」というものです。

※参考…千葉市廃棄物の適正処理及び再利用等に関する条例

非常に長い条例ですが、おそらくこの中のどこかに「ゴミ屋敷の規制に応用できる」ルールがあるはずです。ただ、あくまで「応用」であり、他の自治体のゴミ屋敷条例ほど「直接規制につながる」ものではありません。

このように、千葉県は全体的に「ゴミ屋敷条例の制定が遅れている」状態です。ただ、これは必ずしも悪いことではなく、上に書いた通り「まだ問題がそれほど深刻でないため」という可能性もあることを、理解していただけたらと思います。

マンションのごみ屋敷対策

汚部屋

ゴミ屋敷というと、一軒家を連想する人が多いでしょう。しかし、最近は「マンションのゴミ屋敷」の問題も深刻になっています。ここではその現状や、どのような人がマンションをゴミ屋敷にしやすいのか、対策はどうとればいいのかを解説していきます。

マンションをゴミ屋敷にするのはどんな人が多い?

世間のイメージでは「一人暮らしの高齢者」でしょう。しかし、最近は「現役世代」が、それに追いつく勢いで増えているといわれます。NHKが下記のように特番を組んでいるほどです。

※参考…あなたの隣もごみマンション!? 現役世代に広がる“孤立”(NHK・クローズアップ現代)

激務で消耗した30代・40代に多い

30代や40代になると、仕事の収入はそこそこ多くなり、一人暮らしのマンションでもある程度の広さの場所に住めます。ここがポイントで、ゴミ屋敷に多い狭いアパートと違い、外部に臭いなどが漏れにくいのです。

一般的なイメージの「一人暮らしのゴミ屋敷」は、狭くて古いアパートでしょう。あのような構造は、臭いも漏れやすく、部屋の面積自体が狭いので、すぐに外部から気づかれるのです。

広くて綺麗なマンションは気づかれにくい

これに対して、ある程度広くて綺麗なマンションでは、他の入居者も「自分たちのマンションにゴミ屋敷の部屋がある」とは思いません。ゴミを確保するスペースも広く、ベランダにもある程度の広さがあるなどの理由で「周辺の住民も気づきにくい」のです。

収入があるため、外出するときの服はしっかりしている

NHKの番組で取り上げられた人々は、皆「外出するときの服はしっかりしている」方々でした。

  • 定期的にクリーニングに出す
  • 必要に応じて新しい服を買う

このような対策をとることで「服が臭くてゴミ屋敷がバレる」ということがなかったわけです。逆にそれが仇となり、ゴミ屋敷化が進行してしまったという部分もあります。

普通に働いているため、管理人も気づきにくい

これが一人暮らしの高齢者の方などであれば、管理人さんが早い段階で気づくことも多いでしょう。「いかにも」というオーラが漂っていれば、管理人さんが廊下を掃除するときなどに、「新聞受けの隙間から臭いを嗅ぐ」などして、気づく可能性があります。

また、単純に何かの理由をつけて部屋を訪問し、ドアを開けてもらって中を確かめるということもあるでしょう。どのような方法にしても「外で働いていない人」は、管理人さんもゴミ屋敷の問題に気づきやすいのです。

しかし、普通に小奇麗な格好で出勤して働いている人の場合、管理人さんも部屋がゴミ屋敷になっているなどとは、想像すらしません。そのため、現役世代のマンションのゴミ屋敷化が急増しているのです。

ゴミ部屋があると、マンションの資産価値が下がる

汚部屋

当然ながら、同じマンションの中にゴミ屋敷(ゴミ部屋)があると、そのマンション全体の資産価値が下がってしまいます。他の階はともかく、同じ階なら確実に売却しにくくなるでしょう。

このため、マンションのゴミ部屋対策は、管理組合や住民、管理人や管理会社などの方々が協力して、日頃から進めておく必要があります。そして、万が一ゴミ部屋が発生してしまったときには、それをすばやく解決することが必要です。

裁判にせず、管理組合の費用負担で片付けた実例

ごみ屋敷清掃

対策はマンションごとに異なるのですが、ある実例が参考になります。その実例のポイントをまとめると、下記の通りです。

  • 通常なら裁判を起こし、所有者に強制的に片付けさせる
  • しかし、それだと時間とお金がかかると判断した
  • そのため、管理組合が費用を負担し、すぐに片付けた

このケースで幸いだったのは、「所有者自身は片付けたいと思っていた」「しかし、お金がなくてできなかった」ということです。

処分費用は100万円近くかかっており、所有者は管理費すら滞納している状態だったため、とても払えなかったわけです。逆にいえば「お金さえあれば片付けたい」ということだったので、話し合いがまとまりやすかったといえます。

管理組合にとっては100万円の損失

もちろん、ゴミ屋敷が片付いてめでたしめでたし、ではありません。本来払わなくていい処分費用を、管理組合が100万円も支出したわけです。

その事例では、一応建前として「建て替える」ということになっていました。しかし、その費用が戻ってこないのは明白です。

裁判をするよりはマシだった

この事例で管理組合が出費の決断をしたのは「裁判をするよりマシだった」ということです。

  • 裁判でも数十万円は確実にかかる
  • 控訴までされれば、合計で100万円か、それ以上かかる
  • その上、1年間~2年間程度の時間がかかる
  • その間に、さらにゴミ屋敷の状態が悪化する

こうした状況をシミュレーションすると「今すぐ100万円を立て替える方がマシ」と、管理組合は判断したわけです。実際、結果を見ると英断だったといえます。

日頃からゴミ屋敷が発生しにくい状況を

ただ、やはりマンションの他の住民にとっては「痛い出費」だったに違いありません。その100万円で、他の設備を新しくすることもできたでしょう。

やはりマンション全体で日頃から工夫し、「ゴミ屋敷が発生しにくい状況」にする必要があります。

「火災報知器の点検」などを強制的にする

火災報知器の点検

マンションによっては「火災報知器の点検を強制する」という対策をとっています。これなら、玄関に作業員が入るので、ゴミ屋敷を早期発見できるということです。

火災報知器を「玄関につける」のがポイント

このポイントは「火災報知器を玄関につける」ということ。実は、筆者も今まで2つの物件で「強制的な点検」を体験しています。そのときはいずれも「火災報知器が玄関に」ありました。

つまり、作業員が多くまで入り込まなくていいのです。特に1軒目はマンションでもアパートでもなく「レンタルオフィス」(本当は住んではいけない)だったのですが、作業員の方は「ドアから腕だけ入れる」というやり方で、点検をされていました。

要は「中は見ませんよ」ということですね。これだと「点検を強制」しても、入居者の反発は少ないわけです。そして、一瞬は中が見えますし、臭いがあればわかるので、ゴミ屋敷の発見には十分です。

点検前にあわてて片付ける入居者も多い

筆者が住んでいたそのレンタルオフィスは、筆者と同様にアパートを借りられなかったフリーターの方などが多く住んでいました。半分はオフィスとして使用する「まともな方々」で、半分は筆者のような方々でした。

そうした方の中には、やはり部屋をゴミ屋敷にしていた方もいるようです。点検の前になると大量のゴミや漫画雑誌が、ゴミ捨て場に捨てられていました。

日頃から片付けておくのが当然ベストなのですが、こうして点検前に片付けてもらえるだけでも「最悪の事態」を防げるわけです。このため、こうした「イベント」を定期的にマンションの中で設けるのがいいかと思います。

インターホンを全て付け替える

インターホン

もう一つ筆者が体験した対策は「インターホンをすべて付け替える」というもの。これはレンタルオフィスでなくマンションで体験しました。

もちろん、これがゴミ屋敷対策だったかはわかりません。表向きは「入居者の安全を守るため」というものでした。

実際、それまでのインターホンはすべて「音声のみ」だったので、それに画面も加わったことは大きかったといえます。ゴミ屋敷対策ではなく、本当にセキュリティ対策だったのかもしれません。

どんな工事でも「全員に強制」すれば対策になる

管理組合の狙いは何であれ、この工事が「強力なゴミ屋敷対策」になったのは確かです。筆者の部屋はゴミ屋敷ではありませんでしたが、やはり工事前には大掃除をし、自分の匂いがしないように、部屋の換気なども徹底してから業者さんを迎えました。

こうした「強制的な工事」に反発する人もいるでしょう。しかし、マンションに住むならマンションの規約にしたがう必要があります。

最初に「そういう規約である」と説明しておけば、問題はないでしょう。それこそ具体的に「ゴミ屋敷が発生するのを防ぐためです」といっておけば、誰でも承諾するはずです。自分で「ゴミ屋敷にする予定があるから困ります」などと言うわけはないからです。

このような理由から「定期的な強制工事・点検」は、マンションのゴミ屋敷対策として強力なものといえます。

ゴミ屋敷対策の条例・先進的な取り組み

ゴミ屋敷対策の条例は多くの自治体で制定されていますが、その中でも特に先進的な取り組みをしている、あるいはしてきたのが、京都市と足立区です。ここではこの2つの自治体の取り組みを紹介します。

京都府・京都市

京都市

京都府の京都市は、ゴミ屋敷対策の条例が全国的にみても整備されている自治体です。下の公式資料でも「いわゆるごみ屋敷条例」として、オープニングから「ごみ屋敷条例」という言葉が使われています。

※参考…京都市における不良な生活環境を解消するための支援及び措置について(京都市保健福祉局・PDF)

景観がどこよりも重要な自治体のため

京都市がごみ屋敷条例で先進的な理由は、誰でも想像がつくでしょう。景観を守ることが、他のどの自治体よりも重要だからです。

もちろん、景観を保つことが重要でない都市はありません。しかし、京都は多くの外国人が訪れる「日本文化の顔」です。その京都にごみ屋敷があっては、日本のイメージが大きく下がってしまうわけです。

そのため、早くから危機感を持ってごみ屋敷対策に取り組んできたということです。具体的にどのような条例が整備されているのか、その一端を紹介しましょう。

細かい判定チェックシートがある

京都市は、その物件が「ごみ屋敷である」と判定するための、チェックシートを作成しています。「不良な生活環境判定チェックシート」というものです。

項目は多数ありますが、たとえば「ハエ・蚊・ゴキブリ・ネズミ等の発生」という項目では、下の三段階評価になっています。

A 害虫が多数発生しており、容易に目視できる
B ネズミが発生している
C 害虫が発生しており、物品をよけた際に目視できる

上から「やばい順」となっています。Cは「物をどかさない限りは害虫が見えない」ということで、まだまともな状態です。Bのネズミも少々まずいのですが、ネズミはごく普通の家にも、たまに紛れ込んでいるものです。

(筆者の実家は築5年くらいの頃から、すでにネズミが天井裏に侵入していました)

このため、ネズミはB段階になっているのだと思われます。最後の「容易に目視できる」というのは、誰が見ても危険な段階です。今までごみ屋敷を見たことがある方は多いでしょう。しかし「虫までは見えなかった」と思います。

「虫まで簡単に見えるごみ屋敷」は相当に汚染が進行しています。このため、A段階に設定されているわけです。

その他の項目の例

業者の点検

その他、チェックシートには下のような項目があります。

  • 臭いの発生
  • 火災発生の危険性
  • 通行上の危険性の発生
  • その他の不良な状態

これらは一例であり、他にも大項目・小項目のそれぞれで、あらゆる観点が設定されています。これらで効率的に物件の状態を調査し、一定レベルに達したごみ屋敷については、すぐに勧告や命令などの行動に出るということです。

清掃グッズも配布する

さらに京都市が進んでいるのは、ただルールを整備するだけでなく「清掃グッズ」という物品まで支給していることです。

  • 帽子・マスク
  • ゴーグル2種類
  • 上着・ズボン
  • 手袋2種類
  • 靴袋2種類

このような道具を市が提供しているわけですね。誰に提供するかというと「業者」です。業者が使用するこれらの道具を市が負担することでスムーズに片付けられるようにする、ということですね。

「業者」と明記されているわけではありませんが「職員では行えない危険な清掃の委託」という一文があり、全体の流れから「業者の道具を市が負担する」「使用後の処分も引き受ける」ということがわかります。

ボランティア保険の加入も市が負担

さらに進んでいるのは、こうした業者の作業スタッフをボランティア保険に加入させるということ。この費用も市が負担します。

ごみ屋敷の清掃は危険を伴うことが多く、健康を害することもしばしばあります。そのようなときに保険によって医療費をまかなえるようにするわけです。

このように、口を出すだけでなく、アイテムや保険の実費を負担して、物理的な支援をしているというのが、京都市の条例・取り組みの優れた点といえるでしょう。

東京都・足立区

河川敷

東京都の足立区は、ゴミ屋敷対策に特化した条例を全国で初めて制定したことで話題になりました。「足立区生活環境の保全に関する条例」というもので、平成25年1月1日から制定しています。

ゴミ屋敷条例は制定していない自治体の方が多く、制定している自治体でも平成30年前後と、足立区より4年~6年ほど遅れているところがほとんどです。逆にいうと、足立区がそれだけ進んでいるといえます。

足立区の条例の特徴

実は、足立区のゴミ屋敷条例に目立った特徴はありません。内容自体は、ここまで紹介してきた他の自治体のゴミ屋敷条例とほぼ同じです。

※参考…足立区生活環境の保全に関する条例(通称:ごみ屋敷対策事業)

しかし、上に書いた通り足立区は「ゴミ屋敷条例を最初に制定した自治体」です。つまり、他の自治体の条例とかぶっているのは、実は「他の自治体が足立区を参考にした」のだといえます。

このため、条例の内容自体は「普通」でも、「元祖である」ということが、足立区の条例の最大の特徴といえるでしょう。

親の死後のゴミ屋敷化を防ぐため、生前整理を

生前整理

親が亡くなったあと、久しぶりに実家に戻ったらゴミ屋敷になっていた、というケースも多く聞かれます。このような事態に陥るのを防ぐためには、生前整理が有効です。ここでは、実家のゴミ屋敷化を防ぐ方法と、生前整理についてく解説していきます。

亡くなった後のゴミ屋敷清掃は負担が大きい

親御さんが亡くなった後で、ゴミ屋敷になっていた実家を清掃するのは非常に負担が大きいものです。理由は、親御さんが亡くなった後は、下のような手続きで忙しいためです。

  • お通夜・お葬式などの手配
  • 相続手続き
  • 各方面への連絡

このようにやるべきことが多数ある中で、さらに大仕事である「ゴミ屋敷の片付け」が入るわけです。誰にとっても困難であることは、言うまでもないでしょう。

親が元気なうちから話し合う

家族会議

できれば、親御さんが元気なうちからコミュニケーションを密に取り、実家がゴミ屋敷にならないようにするべきです。当然ながら、親御さんも綺麗な部屋で生活できる方が気持ちがいいので、頭や体が元気なうちであれば、説得もしやすいでしょう。

自力での片付けが困難なら業者に依頼を

親御さんの説得ができたとしても、「不用品の量が多すぎて、自分たちだけでは片付けできない」ということもあるでしょう。そのような場合には、不用品回収業者に依頼していただくのがベストです。

遺品整理業者で生前整理を手がける業者でもいいのですが、親御さんの頭がしっかりしていると「遺品整理業者を呼ぶとは何事だ」と思われるかもしれません。もしそのようなことに敏感な親御さんであれば、不用品回収業者を選んでいただくのがいいでしょう。

業者に依頼する場合の費用の相場は、下の記事で詳しく解説しています。業者への依頼を検討する場合は、こちらも参考にしていただけたらと思います。

まとめ

オペレーターの女性

ゴミ屋敷の対策は、個人で実行できるものについてはほとんど「予防的なもの」となります。実際にゴミ屋敷になった後では「とにかくそれを片付ける」しかありません。

ゴミ屋敷の片付けは、労力が大きいだけでなく、衛生面・健康面での危険も伴います。それは記事中で紹介した京都市の事例で、市が業者に対して防護マスクや手袋などの道具を支給していることでもわかるでしょう。

現場慣れしているプロにとっても負担が大きく危険な仕事です。まして日頃から清掃業務の経験がない方が、いきなりゴミ屋敷を片付けるというのは、相当に負担が大きく、リスクが高いことだとご理解ください。

現場をご覧になったり、片付けようと試してみて「これは自力では無理だ」と感じた場合、弊社のような不用品回収業者にご依頼いただくことをおすすめします。弊社エコアールは、関東エリアで「業界最安値保証」を宣言しており、他社よりリーズナブルな価格で、質の高いサービスを提供することが可能です。

他社と比較するためのお見積りも歓迎ですので、まずはお気軽にご相談ください。お見積りは完全無料で、電話・メールの両方で承っております。

小さな負担ですばやくゴミ屋敷の問題を解決していただき、皆様の落ち着いた生活を取り戻すお手伝いをさせていただければと願っております。どのような些細なことでも結構ですので、お気軽にご質問・ご相談くださいませ。

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