ゴミ屋敷なのに捨てられない理由は?4つの原因と7つの精神疾患を解説!

ゴミ屋敷問題の報道を見ていて「なぜ捨てられないのか」と疑問に思う方は多いでしょう。あるいは、ご自身の部屋がゴミ屋敷に近づいており「どうして私は捨てられないのか」と、悩んでいる方も見えるかもしれません。

  • 捨てられない原因は、何かの精神疾患なのか
  • その場合、どんな病名なのか
  • どのように解決すればいいのか

このような点を知りたい方が多いかと思います。当記事ではこれらの点を中心に「ゴミ屋敷なのに物を捨てられない」という状態について解説していきます。こうした状態で悩まれている方には、きっと参考にしていただけるでしょう。

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ゴミ屋敷状態なのに捨てられない原因は?分類のパターンは4つ

「ゴミ屋敷状態なのに捨てられない」という原因は、下の4つに分類できます。

  • 精神
  • 身体
  • 時間
  • 金銭

ここでは、それぞれどのように原因となるのか、説明していきます。

精神的原因…ホーディング・認知症など

精神疾患

まず、原因のほとんどはこの「精神的・頭脳的」なものです。ゴミ屋敷を見ると、少々口の悪い人は「ここの人は頭がおかしい」と思うことが多いでしょう。

これはもちろん、深い考えのない言葉です。しかし、統計的にはある意味正解で「確かに、精神疾患や脳障害が原因のことが多い」のです。

これらの原因については症状が多様なため、別の段落で詳しく解説していきます。

補足…精神疾患と頭脳疾患は、ほぼ同じである

「精神と頭脳の疾患は違う」と思う人も少なくないでしょう。たとえば「認知症は脳の問題なので、精神疾患ではない」という考え方です。

実は、このような見方はトップレベルの専門家の間でもあります。しかし、こうした見方については、公的団体が下記のように抗議文を発表しています。

認知症は精神疾患の中でも重要な疾患である。
(中略)
国から長寿医療の研究を委託されている唯一の医療研究センターであれば、「認知症は精神疾患である」という正しい知識を研修会では伝えるべきである。
「認知症は精神疾患でない」発言への抗議文(公益財団法人・日本精神科病院協会)

また、脳卒中などの後遺症である「高次脳機能障害」についても、「精神障害」として手帳が発行されます。これは下の愛知県の説明でわかります。

高次脳機能障害と診断されれば「器質性精神障害」として、精神障害者保健福祉手帳の申請対象になります。
高次脳機能障害って何だろう(愛知県)

このように「大抵の脳の症状は、精神疾患に分類される」のです。そのため、ここでは両者をまとめて「一つの原因」として分類しています。

(医学的な話になりますが、精神疾患の見方は非常にセンシティブであり、事業者としては正確な記載を求められるため、少し長めに説明させていただきました)

身体的原因…片付けに必要な体力の不足

精神にも頭脳にも問題がないが、体力がないため片付けられない、というケースもあります。これは主に高齢者の方の見られるパターンです。

「家族に頼めばいい」と思う人も多いでしょう。実際、多くの高齢者の方はそうして問題を解決しています。

そのため、これが原因でゴミ屋敷になってしまう場合、その人は下の問題も合わせて抱えているといえます。

  • 社会的に孤立している(家族からも地域からも)
  • 業者に依頼するだけの費用がない(経済的問題)

2つ目の経済的問題については「清掃を業者に依頼できるだけのお金がある人は、社会的にも孤立しにくい」ものです。これは他の原因でもそうですが、ゴミ屋敷になる原因は、単独ではなく併発していることが多いといえるでしょう。

時間的原因…激務による時間の不足

労働

これは高齢者と違い、20代~50代の若い世代で多いもの。特に近年では「ブラック企業で働かざるを得ない」という人が増加しており、これが原因のゴミ屋敷も増えています。

この原因は、次の段落で解説する「金銭的原因」とも似ているものです。それでも別に分類されるのは、下のようなケースがあるためです。

  • お金はある
  • 仕事をやめても数年生活できる貯金がある
  • 業者に依頼する費用も払える
  • それでも、仕事が激務で「時間だけがない」

このような仕事の一例は「看護師」です。看護師は比較的お給料が高い職業ですが、人命が関わる仕事であるため、イレギュラーな残業が多くあります。

このため「お金は溜まるけど使う時間がない」という人が少なくないのです。同時に、部屋の片付けや家事をする時間も気力もなく「仕事は普通にしているのに、部屋はごみ屋敷状態」というケースが少なからず存在します。

金銭的原因…時間不足の原因&処理費用を払えない

これは近年の20代・30代の若者で特に増えている原因です。「若者の貧困」はすでによく知られた社会問題ですが、これが原因で、下のような状態を招いてしまいます。

  • ブラック企業でも働かざるを得ない
  • 最低限の睡眠時間しかとれず、片付け・家事どころではない
  • 業者に依頼する費用もない

先に説明した「時間的原因」は、本人が仕事を辞めるか、しばらく休むという決断をすれば解決します。しかし、こちらの金銭的原因はそれでもできないため、より深刻です。

良い転職をする以外の解決策は「生活保護を受ける」ことくらいでしょう。しかし、生活保護を受けるにも一定の条件を満たす必要があり、このような原因でゴミ屋敷状態になってしまう若者の部屋は、今後も増加してしまうと考えられています。

「ゴミ屋敷なのに捨てられない」精神疾患・主な7種類

上の段落で書いた通り「ゴミ屋敷状態なのに捨てられない」という最大の原因は「精神疾患」です。ここでは、精神疾患の中でも特にゴミ屋敷の原因として多い6種類について、解説していきます。

ホーディング(ためこみ症)

ゴミ屋敷

ホーディングは「ためこみ症・強迫的ホーディング・ホーディング障害」とも呼ばれます。英語では「hoarding」と書くものです。物を溜め込むのでホールディング(holding)と勘違いされることがありますが、別の動詞・綴りです。

ホーディング(ためこみ症)の定義

ホーディングの定義は下のようなものです。

居住空間において大量の物品を度を越して収集(蒐集)することを止められず、それにより著しい苦痛・不全を起こしているという行動パターン
Wikipedia「強迫的ホーディング」

まさに「ゴミ屋敷なのに捨てられない原因」に、完全に一致する症状です。これが精神疾患として認知されるようになったのはつい最近で、2013年からです(DSM第5版に掲載)。

他の精神疾患と重なる部分も多い

このホーディングは、これ以降で解説する他の精神疾患と重なることが多くあります。たとえばホーディングが原因でうつ病になる、あるいはその逆というパターンが多くあるのです。

また「強迫的ホーディング」という名前からも分かる通り「強迫性障害」の一部とする分類もあります。このあたりの分類を厳密にするのは難しいものですが、確かなことは「2013年から、ホーディングが一つの精神疾患として独立して扱われるようになった」ということです。

強迫性障害

強迫性障害は「不合理な行為や思考を自分の意に反して反復してしまう」という、精神障害の一種です。「具体的に何を繰り返すのか」というと、下のような症状があります。

  • 抜毛症(自分の毛髪などを抜き続ける)
  • 皮膚むしり症(皮膚をひっかき続ける)
  • 自傷行為(リストカッドなど)

いずれも「確かに意思に反している」と思うでしょう。このようなことを「本当にやりたくてやる」人は、一般的にはいないためです。

「ゴミ屋敷なのに捨てられない」ことも、本人の意思に反して「ものを溜め込む行動を反復してしまう」ということです。

うつ病(躁鬱病)

うつ病

うつ病も特に多い原因の一つ。うつ病の症状はよく知られている通り「無気力になり、何をする力も出ない」というものです。

これは年代を問わずゴミ屋敷状態になってしまう原因となります。若い人でも燃え尽き症候群のような状態でうつ病になることがありますし、40代後半~50代にかけて、更年期が原因のうつ病になる女性もいます。

もちろん、心身が衰える高齢期は特にうつ病にもかかりやすいもの。年代を問わず「特に身近な原因の1つ」といえるでしょう。

補足…躁鬱病とうつ病の違い

躁鬱病は、うつ状態とは逆にテンションが上がる「躁状態」があります。しかし、うつの時は片付けができなくなりますし、躁状態のときに多くのものを買い込んでしまうなどのパターンもあります。このため、うつ病だけでなく躁鬱病も、ゴミ屋敷の原因になります。

セルフネグレクト(自己放任)

セルフネグレクトも、ゴミ屋敷で特に多い原因の一つです。これはうつ病とよく似た症状であり、実際に同一視する見方も多くあります(これはすべての精神疾患でいえることです)。

あえてうつ病との違いをあげるとしたら、セルフネグレクトは「自分の世話以外には積極的で元気」ということがあります。たとえば「オンラインゲームでは驚異的な努力をし、高い能力を持ち、仲間からも慕われている」などです。

セルフネグレクトは自分の世話全般をしなくなるので、掃除以外でも「栄養をとらない」「病気を放置する」などの行動が見られます。

認知症・アルツハイマー病

認知症

認知症が精神疾患であることは、こちらで説明しています)

認知症・アルツハイマー病は、特に高齢者の方のごみ屋敷で多い原因です。たまにゴミ屋敷の窓から高齢者の方の姿が見えると、多くの人は「認知症なのかな?」と思うでしょう。

実際、このような直感の通り、高齢者の方が認知症・アルツハイマー病になって家をゴミ屋敷にしてしまうというパターンは、非常に多く見られます。この場合、可能であれば行政が支援し、部屋を片付けることもあります。

しかし、認知症になると攻撃的になる人も多く、健康なとき以上に支援を拒む、というケースもあります。

(このような自治体の支援・対策などの詳細は、下の記事を参考にしていただけたらと思います)

ADHD(注意欠陥多動性障害)

ADHDは、近年よく知られるようになった症状です。昔は、ただ「落ち着きがない」「おっちょこちょい」と言われていた状態が、精神疾患として認知され始めた状態です。

ADHDの症状は大別して下の3タイプに分かれます。

  1. 不注意優勢
  2. 多動・衝動優勢
  3. 1と2の混合

このうち、1つ目の「不注意」については、ゴミ屋敷の原因にはなりにくいもの。原因となるのは2つ目・3つ目です。わかりやすいパターンとしては衝動買いをしてものを溜め込んでしまうというものがあります。

その他、ADHDでは下のような特徴が「ゴミ屋敷なのに捨てられない」という原因になります。

  • 気が散りやすい(掃除をすぐ中断してしまう)
  • 失くし物をしやすい(探すために部屋をかき回すことが多く、散らかりやすい)
  • ルールを守ることが難しい(ゴミ出しのルールを守ることを過度に難しく感じ、何も捨てなくなる)

このような特徴によってゴミ屋敷になりやすいのがADHDです。しかし、他の精神疾患と比べると「比較的軽度」なものであり、ゴミ屋敷状態も深刻化しにくいといえるでしょう。

統合失調症

統合失調症は特に有名な精神疾患の一つ。昔は「精神分裂病」と呼ばれていました。

疾患の原因はまだ不明ですが、下記のようにさまざまな症状が起こります。

  • 幻覚・幻聴が生じる
  • 異常な思考をするようになる
  • 無気力になる

統合失調症の症状は多様であるため「本人がどんな世界を見ているかわからない」ものです。そのため、どのような理由でその人が物を溜め込むのかは、一概にはいえません。

しかし、部屋がゴミ屋敷状態になってしまうことも含め、あらゆる問題の原因となるのは確かです。他の精神疾患と比べて「影響する範囲が特に広い疾患」といえるでしょう。

「ゴミ屋敷なのに捨てられない」状態はどうすればいい?原因別の解決策

冒頭で説明した通り、ゴミ屋敷を片付けられない原因は、大別して4つのパターンに分類できます。ここでは、そのパターン別に解決策を解説していきます。

精神…精神科・心療内科で治療を受ける

メンタルクリニック

精神的な原因については、それぞれの疾患に合わせた治療を、精神科や心療内科で受ける必要があります。これはゴミ屋敷状態を改善するためだけでなく、人生自体を安定させるために必要なことです。

しかし、ゴミ屋敷状態を生み出している本人がこれを自覚し、治療を受けるということは少ないもの。家族や周囲が早めに気づいて、受診をうながすなどの働きかけをする必要があります。

身体…自治体の支援を受ける

身体的に自宅の片付けができない高齢者・障害者に対しては、自治体がある程度の支援をしています。しかし、これも当の本人が自覚して行動を起こすということは少ないでしょう。

たとえば一人暮らしの親がいる場合などは、子どもができるだけ小まめに様子を見に行くなどし、支援が必要と感じたら自治体に申請するなどの努力が必要といえます。

時間…一時休職する

休暇申請書

「仕事が激務で時間がない」「しかしお金はある」という場合、思い切って仕事を一時的に休むべきです。このケースは、ここまで書いた2つのケースとは違い「本人が行動を起こせる」ものといえます。

休むことの不安は「そのままクビになるのでは」「職場に迷惑をかけて、復帰後も村八分にされるのでは」など、さまざまな内容があるでしょう。このような理由で休めない気持ちはわかりますが、それでも自宅がゴミ屋敷になるほどであれば、少しでもいいので休みをとるべきだといえます。

なお、業者に依頼してまとめて片付けてもらうという手もあります。これなら仕事をクビになるなどの心配はないでしょう。ごみ屋敷の清掃を業者に頼む場合の費用や料金の相場は、下の記事を参考にしていただけたらと思います。

金銭…家族や行政の支援を受ける

「お金がないのでブラック企業で働き続けるしかない」という状態の場合、誰かの支援を受けるべきです。ただ、このような方は家族からもすでに孤立しているケースがしばしばあり、頼みの綱は行政のみというパターンが多くなります。

こうしたケースを行政がすべて把握して支援するのは難しいもの。しかし、実際に30代のOL女性がゴミ屋敷の中で過労で亡くなるなどの事件が起き、行政も具体的な支援策を模索しています。

精神疾患以外で、ごみ屋敷・汚部屋を生み出す心理とは?

「ごみ屋敷なのに捨てられない」という心理的な原因は、精神疾患に限ったものではありません。むしろ「病気とまではいえない、少し変わった性格・価値観」が原因となることもしばしばあります。ここではそれらの価値観や性格を解説していきましょう。

「捨てたらもう買えない」という経済的不安

貧困

特に定年退職をした方、あるいはその配偶者の方などは、今後の自身の経済力に大きな不安を覚えます。簡単に書くと「これからずっとお金がない」という不安に襲われるわけです。

このため、物を捨てようとしても「捨てたらもう買えない」と考えてしまいます。この恐怖心が「物を捨てられない原因」になるのです。

「物を粗末にしてはいけない」という価値観

これは特に高齢者の方に多い考え方。戦前戦後の「物がない時代」を経験している方々は、その時代の記憶によって「物を捨てることに非常に罪悪感を覚える」ということがあります。

この「もったいない」の精神は、ワンガリ・マータイ氏のノーベル平和賞受賞で、一躍世界的に脚光を浴びたものです。しかし、行き過ぎるとごみ屋敷の原因になってしまうということです。

過去を美化し、思い出にしがみつくようになる

思い出

「昔はよかった」という言葉は老いの象徴ともいえる考え方ですが、高齢になると過去を美化する傾向が多くみられます。このような方は、物心両面で思い出にしがみついてしまうもの。そのため、本来なら処分すべき思い出の品を、膨大に溜め込んでしまうのです。

思い出は大切なものですが、私たちは「幼稚園・保育園の頃からのすべての作品をとっておく」ことなどできません。また、すべての出来事を記憶しておくこともできません。

思い出はある程度消えていくものであり、思い出の品はある程度捨てなければいけないのです。これは普通の人なら自然と判断できることですが、高齢になって判断力が鈍ったり、これからの自分の人生に自信をなくしたりすると、こうした判断ができなくなってしまいます。

このように、精神疾患以外でもごみ屋敷を生み出す心理状態は多くあります。さらに詳しい解説は、下の記事をご覧ください。

「ゴミ屋敷だけど捨てられない」とお困りの場合は、不用品回収業者に相談を!

「ゴミ屋敷状態なのに捨てられない」という原因は、ここまで説明してきた通り、下の2つのパターンがあります。

  • 本人が自覚できている
  • 本人が自覚できていない

前者の場合、自ら不用品回収業者に相談していただくことも可能でしょう。最低限のお金がある方であれば、ゴミ屋敷の清掃を業者にご依頼いただくことは、まったく問題なく可能です。

後者については、ご本人が依頼できない以上、ご家族など周囲の方にご依頼いただくことになります。このような場合も、ご本人様への説得も含めて業者がサポートできることは多いので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

オペレーターの女性

以上「ゴミ屋敷なのに捨てられない」という原因や解決策などを解説してきました。上の段落でも書いた通り、業者に清掃をご依頼できる状況であれば、ぜひご相談いただけたらと思います。

もちろん「費用を聞くまで依頼できるかわからない」ということも多いでしょう。弊社では出張費も含めて完全無料でお見積りにご対応しています。見積もりの金額も業界最安値保証を宣言しているため、少なくとも関東エリアについては、他社様よりリーズナブルなことが多いものです。

このような費用の確認も含め、まずはお気軽にお問い合わせください。ゴミ屋敷状態の解消・予防によって、皆様のお役に立てますことを、心よりお祈りいたしております。

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